さがす(ナンパ亭日乗) 出会い系ハウツー

【実録】被害総額3億円。ニュースで見た「あの詐欺師」と私がニアミスした話

2026年1月11日

2021年の秋、何気なく見ていたヤフーニュースの画面で、私の指が止まった。

「マッチングアプリで高齢者から1600万円詐取」という見出し。

記事を読み進め、容疑者の顔写真と名前、そして職業を目にした瞬間、背筋がゾクリとした。
見覚えがある。いや、間違いようがない。

この「27歳の元看護師」は、私のスマホにメールを送ってきていた、あの女だ。

「年上が大好き」という甘い罠

私が彼女の存在を記憶していたのは、いくつかの「違和感」と、ある種の「確信」があったからだ。

当時、彼女からはこんな文面のメールが届いていた。

「はじめまして!年上の方が大好きで、ビックリされるかもしれませんが、以前は65歳の方とお付き合いしていました。
毎日HAPPYになれるような楽しい時間を過ごしたいです。
末永くお付き合いできる方をさがしています。
よろしくお願いします。(外国人かとよく言われますが、日本人です)」

20代の若い女性が、親子ほど年の離れた男性にこれほど積極的なアプローチをしてくること自体、私の長年の経験から言わせてもらえば「業者」か「詐欺」の赤信号だ。

私は独自のチェックリスト(後述)に従い、このメールをスルーした。

案の定、彼女のアカウントはしばらくするとサイト運営から停止処分を受けていた。「ああ、やっぱりな」と思った矢先、別のサイトでも全く同じ文面、同じ写真の彼女を見かけた。そしてそこでも、彼女はすぐに消えた。

典型的な「数打ちゃ当たる」戦法だ。おそらく背後には指南役の共犯者がいて、組織的にカモを探していたのだろう。

なぜ被害は3億円にまで膨らんだのか

私が彼女を「ただの業者」として処理し、被害に遭わなかったのには理由がある。
しかし、今回の事件がこれほど大規模(被害者40人以上、総額3億円超)になったのには、巧妙な仕掛けがあった。

通常の業者と違い、彼女には「リアリティ」があったのだ。

写真が本人そのものだった(通常、業者はモデルの盗用画像などを使う)。

経歴が真実だった(実際に公立大学の看護学科を出て、病院勤務もしていた)。

実際に会っていた(マンションの自室に招き入れることさえあった)。

「サクラ」だと思って警戒していた相手が、実在する看護師で、しかも実際に会ってくれる。

このギャップが、多くの高齢男性の理性を崩壊させ、信頼させてしまった最大の要因だろう。

私が生還できた「情けない」理由

では、なぜ私は騙されなかったのか。
私の危機管理能力が高かったから……と言いたいところだが、正直な理由はもっと俗っぽいものだ。

一つは、単純に彼女が私のタイプではなかったこと。
スレンダーな彼女に対し、私はぽっちゃりした女性が好みなのだ。もし彼女が私のストライクゾーンど真ん中の容姿だったら、メールを返信していたかもしれない。

そしてもう一つは、そもそも貢ぐほどの大金を持っていなかったこと。
こればかりは、貧乏神に感謝するしかない。

マッチングアプリ・サバイバル術

大手サイトは安全対策に力を入れているが、今回のように「本人が実名で登録してくる」ケースでは、発覚までにタイムラグが生じる。その隙間こそが最も危険だ。

私が実践している、怪しいアカウントを見分けるチェックリストを共有しておきたい。

要注意アカウントの特徴

身バレを恐れない写真

一般人が特定可能なレベルの鮮明な自撮りを載せている場合、本気で出会いを探しているのではなく、集客目的の業者か、失うもののない捨て身の詐欺師である可能性が高い。

プロフィールが具体的すぎる

勤務先や居住地を特定できそうなほど詳細な情報は、信頼させるための餌であることが多い。

自己紹介文があざとい

「年上が好き」「甘えさせてほしい」「困っています」といった、男性の庇護欲を刺激する文言はテンプレートだと思ったほうがいい。

3億円という途方もない金額の裏には、こうした小さな「違和感」の積み重ねがあったはずだ。

画面の向こうの甘い言葉に酔う前に、一度冷静になって自分の財布と鏡を見る。それが現代のロマンス詐欺から身を守る、唯一の方法なのかもしれない。

-さがす(ナンパ亭日乗), 出会い系ハウツー